息子が通っているスクールのA君とB君のお話です。
一言でいうと3年生までのA君はイケイケ、B君は控えめでしたが10歳から12歳までの2年間でB君はA君を凌駕する凄まじいプレイヤーに化けました。
今回は10歳からの過ごし方が如何に重要かを2人の例から考えてみました。
10歳の壁とギャングエイジ
サッカーにおける10歳の壁
10歳の壁ってご存知でしょうか。
9歳~10歳になると子供は身体的・精神的に成長することで運動能力や理解能力に差が出始めます。
状況を客観的に理解することができるようになるので、周りと自分を比べて自信喪失や自己肯定を意識するようになります。
サッカーに対しても周りの子と自分の違いを自覚するようになるので、増長や劣等感を抱くなどメンタル面に変化が表れてきます。
親としても「〇〇しなさい」と頭ごなしに言うのではなく、子供が自主性を持って行動するようなサポートに切り替える時期になります。
低学年の時と同様な接し方では子供の自信・自己肯定感・自主性の成長にマイナスに作用してしまいます。
子供がサッカーで過信している場合は気を引き締めさせる、自信喪失している場合は小さなことから自信をつけさせるなど、子供の成長に向かって上手く軌道修正することが親に求められます。
ギャングエイジは大人の第一歩
またこの年頃はギャングエイジとも呼ばれ、親や大人よりも友達との関係性を重要視するようになります。
親の言うことに口ごたえや反発し始めるのもこの頃です。
最近ウチの息子も口ごたえするようになってきてます(汗)
仲の良い友達とつるむようになり、仲間意識を持って行動し始め、価値観も仲間内での評価を優先します。
子供たちの社会の中ではありますが立派な社会活動であり、これから大人になって社会生活を送るための第一歩ということになります。
イケイケA君と控えめB君
2人は息子の2学年上です。
息子が1年生の時のU-9クラスでは3年生同士でお互い切磋琢磨する関係でした。
イケイケのA君
A君はまさにイケイケでディフェンスをドリブルで切り裂き得点を量産するプレースタイルです。
元々足も速く、ワンタッチで上手に裏を取るので縦横無尽にゴールに向かう姿はかなり目立っていました。
目立たないB君
B君は周りの子より小柄な子でした。
足元の技術は高いものの、パスかドリブルかを選ぶ局面では大抵パスを選択するタイプです。
当たり負けすることも多かったのでパスを選んでしまいがちなところもありました。
1人かわせばチャンスという場面でもリスクの小さいパスを選んでしまうのでA君と比べて目立たない存在でした。
2年後に立場が逆転
それから2年経ち、息子が4年生になりU-12クラスでA君・B君と再会して驚きました。
あれだけイケイケで目立っていたA君はスクールの中でも目立たない存在になっていました。
足元の技術が周りの子と比べて拙く、状況判断が遅くなってしまうことでチャンスを潰す局面ばかり目にします。
得意としていたワンタッチでの裏抜けも足の速さのアドバンテージが無くなった6年生では通用せず、抜けないのです。
プレーからも全体的に自信を感じられません。
反対にB君は大人しかったとは思えないほど存在感を放つプレイヤーになっていました。
足元の技術ははるかに向上しており、まずボールをとられることはありません。
ボールを失ったとしても必ず奪い返します。球際の強度も段違いの強さです。
一番驚いたのは闘志むき出しでガンガン切り込むので、普通の子ならパスを選択する場面でも簡単にDFを剥がして数的優位を作り出します。
簡単に数的優位を作れるから余裕が生まれ、自由自在にチャンスメイクします。
まさに自信が全身にみなぎっており、別人かと思うくらいに優れたサッカープレイヤーになっていました。
コツコツと取り組んだ結果、ブロックトレセンに選出されたことが大きな自信になってメキメキと実力をつけたようです。
小さかった身長も周りと遜色ないくらいまで伸びており、B君のお母さんいわく生活習慣の改善も非常に努力して取り組んだそうです。
A君とB君なぜ逆転したのか
3年生の頃のA君とB君は、サッカーへ取り組む姿勢が違っていたと思います。
A君はまさに天狗のような状況で、他の子を見下すような発言も多々ありました。
練習試合の前に「今日の相手楽勝だから本気出さない」なんて他の子供に話していました。(もちろんコーチには聞こえないところでですよ。)
試合に勝っていれば明らかに手を抜く(サボる)部分がプレーからも目につきました。
B君からはそんな発言は聞いたことがありません。いつも真摯に全力で取り組んでいました。
コツコツ積み重ねた努力が自己肯定感になり、自信を高めるとともに成長したB君。
低学年時のアドバンテージに胡坐をかいてしまい、自信の拠り所を失くして成長する機会を逃したA君。
10歳の壁への対処が結果的に2人の差になったと思っています。
ゴールデンエイジで化ける子
ゴールデンエイジとは
ゴールデンエイジという言葉はよく耳にすると思います。
神経系の発達が大人と同じ100%まで発達するのがゴールデンエイジ(10歳~12歳)です。
神経系はバランス能力や運動能力といった身体を思い通りに動かす力に直結する要素です。
大人と違って直感的に様々な動きを習得できるためゴールデンエイジは「即座の習得」ができると言われています。
「見たことをやってみるだけで習得できる」状態なのでサッカー上達に欠かせない時期なんだそうです。
足元の技術を身に着けるなら早いに越したことはありません。
10歳の壁とゴールデンエイジ
ゴールデンエイジを迎えるにあたって10歳の壁に上手く対処できたかどうかで成長度合いは変わってくると思います。
ゴールデンエイジの時期に習得すべきスキルや練習方法については様々なものがありますが、いちばん大事なのはメンタルの状態が「サッカーに真摯に取り組める状態か」ということではないでしょうか。
A君とB君のケースは低学年の上手い下手はゴールデンエイジでいくらでも挽回できるということを証明してくれました。
ではでは。